月経痛・月経困難症の将来、子宮内膜症の自然経過

子宮内膜症

さて、今回は
3.普通はどのような経過をたどるのか
についてです。

この、「生理痛がある人の経時的変化」については知らない人が多いと思います。
また、時間経過と共にどのように変化をしてくるかについて記載していないか、書いてはあるのだが解りにくい、または簡単な記載であることが多いので取り上げようと思いました。

必ずこの経過をたどるという訳ではありません。
生理痛があっても、生涯子宮内膜症や子宮腺筋症の診断がつかない方々も多くいらっしゃいます。
でも、油断していると子宮内膜症性嚢胞が出来ていたりしますので、要注意です。

 

20年ほど前のアンケート調査から子宮内膜症の自然経過を簡単に説明すると以下のようになります。

初潮の頃は、生理痛が全くない人も酷かった人もいます。
その後、一旦少し楽になります(中には「楽になった時期は一度もない」とおっしゃる方も・・・)。
最初の頃は受診しても「異常なし」の診断になる事が多いのですが平均3カ所の医療機関(産婦人科)を受診して初めて、超音波にて子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)が見つかり「子宮内膜症」の診断を受けます。
この時、平均して29歳。
その後は、子偽閉経療法などを受けながらも宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)の手術を勧められて、手術を受けてやっと安心・・・と思ったらまた再び腫れてきて、再度手術を受けてもう安心と思いきや、またまた腫れてきて・・・閉経までに平均3回の手術を受けます。
これを表にしたのがこちら

内膜症の自然経過

「もう がまんしない!この生理痛、あの不調」小杉好紀著 2006/6/23 より

これが当時の子宮内膜症の自然経過でした。
その後、LEP剤(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤、低用量ピル)が一般的になったために経過も変化が出てきている事と思います。

年代別にもう少し説明すると

・初潮開始してから数年間~5年程度の頃この頃に生理痛がひどいのは、未熟な子宮であるがゆえの場合であることが多いのです。

未熟な子宮とは・・・
子宮の体部と頚部の比率が成人とは違います。成人では、体部:頚部は大体3:1程度。

初潮から間がないときには体部:頚部が1-2:1程度となります。

子宮の体部と頚部については、こちらの絵が解りやすいと思います。
生理が来ない原因と対策より
https://seiri.azukichi.net/shikyu.html

若年者では、子宮の出口もまだ狭いために体部から出た出血を表に出す為に強い収縮が起こる人がいます。
特徴はおおよそ初潮から5年以内であることと、キューっと痛み、
ちょっと楽になりまたキューっと痛む・・・痙攣のような痛み、または絞られるような痛み。
このタイプは、年齢があがると治まってくるものです。

・15歳~21歳・・・

本来この時期には生理痛が少し楽になることが期待されています。
この時期(初潮からおおよそ5年以上経っている)に痛みがある場合には要注意です。ストレスやホルモン状態が悪かったり感染症の影響で生理痛がひどくなることがありますので、思い当たることが無い場合には産めなくなる生理痛の可能性も否定できません。
この年代では多嚢胞性卵巣(=PCO)以外の内診での異常や形態の異常(超音波でわかる)も殆どありません。

・22歳~28歳・・・

一般的にこの時期は就職後すぐ、または就職後少したってからの時期です。この時期に痛みが増すのは、ひとつはストレス、もうひとつはまだ顕在化していないだけで、病気が隠れている可能性も・・・
この時期に受診をしても「異常なし」と言われることも多くあります。
でも、場合によっては産めなくなる生理痛(子宮内膜症、子宮腺筋症)の初期かもしれません。中には、この時期にもう子宮内膜症や場合によっては子宮筋腫の診断がつく人も・・・

・29歳~35歳・・・

以前から生理痛がひどく、病院にも何回か行ったが異常ないと言われていたが、この時期になると子宮内膜症が顕在化してきて、超音波で子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)や子宮腺筋症の指摘がある可能性も。
場合によったら、子宮筋腫も見つかるかも。
この時期になると、人によってはそろそろ不妊症が顕在化してきている場合もあります。

子宮内膜症性嚢胞や子宮筋腫等形態異常の頻度が少し上がってきます。子宮内膜症は約10%程度。子宮筋腫は20-30%に認められます。子宮内膜症性嚢胞や子宮筋腫はだんだん大きくなる傾向にあります。子宮腺筋症の所見がある人も増えてきます。

・36歳~42歳・・・

腫瘍の指摘の可能性が高まり、かつ挙児希望の場合は不妊症が悩みになっている可能性があります。内膜症や腺筋症の場合、痛みが以前より酷くなり、月経量も多くなってきているかもしれません。また、逆に人によっては内膜症が進行して月経痛などの痛みが緩和されてきている可能性もあります。

・43歳~49歳・・・

子宮内膜症や子宮腺筋症のある人は、まだまだ生理痛が続いている事と思います。多くの人は、痛みが強く、一部の人で内膜症が進んだがゆえに痛みが緩和されている場合もあります。
腺筋症がある人の場合、月経量がとても増えて酷い貧血になっている場合もありますので要注意です。
また、子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)がある人の場合、42歳以上でチョコレート嚢胞の直径が4cm超える場合は、子宮内膜症性嚢胞を母地とした卵巣がんのリスクが上昇しますので注意が必要です。

・50歳~・・・・・・・

生理はまだまだ順調にきているのですが、ホルモンが弱くなってきたおかげか生理痛は少し楽になっているのではないでしょうか。ただし、最近は栄養状態等で閉経が遅くなり、平均で53歳(以前の平均閉経年齢は50歳と言われていました)。
内膜症や腺筋症、子宮筋腫がある人は、閉経が平均より遅くなる傾向がありますので、場合によったら53歳でもまだまだ順調に生理があるかも・・・