形態異常が無い月経困難症について・・・内膜症か否か・・・子宮内膜症の確定診断について

子宮内膜症

患者さんからのリクエスト記事です。

 その方は、
「私は、とてもひどい月経困難症があるのですが、婦人科ではいつも異常なし・・・って言われます。」
内膜症ではないんでしょうか?」
「そこのところを知りたいんです。」
と仰いました。

 子宮内膜症とは、何なんでしょうか?

「子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症についてのサイト」と言う記事でも解りやすいサイトを紹介しました。

この記事では、子宮内膜症について一般的に言われている事(サイトを紹介)と内膜症の原因論に近い論文の紹介、そして子宮筋腫にはVit.Dが効く可能性があるという論文の紹介を記載しました。

 

今回のリクエストでは、内膜症かどうか・・・と言う事が問題になっています。
そこで、まず子宮内膜症の確定診断について(ご紹介したサイトにはチラッとしか記載がありません)です。

 確定診断:病気は通常、糖尿病なら糖尿病、高血圧なら高血圧などの各疾患ごとに学会が定めた診断基準と言うものがあります。それにのっとると、子宮内膜症の確定診断は開腹時または腹腔鏡で病巣部がある事を確認する事で行われます。

でも、確定診断のために手術を受けるなんて大変です。
たとえそれが侵襲の少ない腹腔鏡であっても・・・です。
MRIや超音波では、本来確定診断にはならないのです。

 しかし日本では(#1)、MRIや超音波で病巣部が確認できる・・・または内診で硬結が触れるなどで、例え肉眼的(手術や腹腔鏡による診断)または組織学的診断(手術で病巣部を摘出することで可能になる)で確認できずとも「臨床的子宮内膜症」と言う扱いで色々な薬が使用できます。

手術を受けずに超音波やMRI、内診で「子宮内膜症」の診断を受けている方は全員「臨床的子宮内膜症」として治療薬を処方をされていることになります。

 さて、超音波やMRIまたは内診で内膜症が強く疑われる状態でない場合・・・要するに形態的に異常がない、内診上も異常がない・・・にもかかわらず生理痛がひどい・・・そのような方は、内膜症ではないのでしょうか?

学会の規定(診断基準)に従うなら、腹腔鏡の検査を行い病巣部がなければ内膜症ではない・・・と言う事になります。
・・・腹腔鏡の検査をするのは、大事(おおごと)です。
そこまでして、知りたいか・・・知りたい方もいらっしゃると思いますが、多くの人にとって現実的ではありません。

 しかし、ここで面白い話があります。

子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症についてのサイトで紹介した論文のグループでは、HRFの過剰発現があると過剰な痛み物質が出たり、腹腔内に逆流(#2)した自分の月経血に対してのアレルギー反応が出たり、本来出るべきでない場所やタイミングでホルモンが産生されたりする・・・と言うのです。

形態異常が無い生理痛は内膜症なのかどうか・・・と言う疑問ですが、学会が定める診断基準を守る場合、腹腔鏡の検査を受けなければ、内膜症かどうかは解りません。

しかし、病因論から考えた場合HRFの過剰発現が、過剰な痛み物質やアレルギー物質そして、本来出るべきでない場所やタイミングでホルモンの分泌を引き起こしている可能性があります。
そして、痛み物質とアレルギー物質、ホルモンの各々がお互いに刺激してさらなる痛み物質・アレルギー物質・ホルモンを産生するというサイクルに入ってしまう可能性があるのです。

 つまり、何が言いたいかと言うと形態異常が無い月経困難症は内膜症ではない・・・(腹腔鏡の検査を受けていない場合)とは言い難い・・・と言う事が一つ。
そしてもう一つは、病因論から考えると同じ病態で体に対する現れ方が違うだけ(チョコレート嚢胞などの腫瘍形成は抑えられ痛みだけ強く出ている)・・・と言う可能性があるのです。

 今、医療の現場も変化が著しい時期です。
今までのように形態や症状からの診断から、どのような遺伝子が強く発現しているのかいないのか等の診断方法に変わってくる日は近いのだと思います。

 #1)外国の場合は、検査を受けないと確定診断ができずに保険も下りない・・・と言う事情もある事で、キチンと腹腔鏡での検査が行われているとのことです。

#2)月経血が腹腔内に逆流すること自体は、異常でも何でもありません。ほぼ全員の方は、多かれ少なかれ月経血が卵管を通じて腹腔内に逆流をしているのです。